「そば王国」とも言われる長野。特に信州そばの名は全国で広く知られ、日本中に根強いファンが多いです。そんな地元の人や観光客に愛され親しまれている、信州そばのヒミツや特徴をご紹介します。

水はけの良い火山灰地であることや、冷涼な気候の高地であることなど、長野は良質なそば栽培に最適な環境が揃っています。そばは世界各国で栽培されている穀物ですが、食べ方は餅や団子にするのが主流。麵の状態にして食べるようになったのは長野が発祥だという説があるほど、その歴史は古いものです。

信州そばは豊かな風土と伝統を感じられる、長野県が誇る郷土食です。本来は「長野県信州そば協同組合」が認定した、長野県産そば粉の配合割合など一定基準を満たしたものが信州そばとされていますが、長野県内のそばの総称として使われるケースも多くみられます。今回ご紹介するのも、総称の意味での信州そばです。

信州そばの特徴は、しっかりとしたコシの強さ、ツルっとしたのど越しの良さ、豊かな香りの3つです。

長野県には有名なそばの産地が多く、そばの名店も県内全域に点在していることから、地域ごとにそばの特色や食べ方の違いを楽しめます。

地域ごとの特産品とそばを合わせた食べ方では、県北部ではつゆを使わず大根の絞り汁と味噌で食べる「おしぼり蕎麦」、中心部ではすんきという漬物を添えて食べる「すんき蕎麦」などが知られています。有名な信州そばは、日本三大そばに数えられる「戸隠そば」、実の中心部分を使用した白い「更科そば」、朝霧がかかることで美味しくなる「霧下そば」などです。

「挽く」「打つ」「茹でる」からどれも時間が経たずに作られるのが美味しいそばの条件と言われます。長野ならではの、そして産地ごとに違いを見せる格別なそばを味わいましょう。

ここからは観光で訪れやすい4つのエリア別に、そばの名店をチェックしていきましょう。最初にご紹介するエリアは信州の玄関口である長野駅周辺からピックアップしたおすすめの2店舗です。

長野駅から歩くこと5分、小路の奥に佇む隠れ家的存在のお店です。店内にはジャズが流れ、落ち着いた雰囲気の中でそばを楽しめます。香り高い「極みそば」は時期によって打ち方を変えるなど、常に一番美味しいそばを追求しているのだそう。自慢の鴨料理や店主が選び抜いた地酒も一緒に味わえます。「お取り寄せそば大賞2020（日本蕎麦保存会主催）」全国第1位にも選ばれた名店です。

作りたてを食べてほしいという思いから1日に何度もそば打ちを行い、鮮度にこだわっています。細めでありながらしっかりコシが感じられるそばを、甘すぎないキリっとしたつゆで味わいましょう。そばを使ったおつまみ「そばの味噌焼き」やスイーツ「そば茶アイス」などのサイドメニューも好評。おしゃれな店内は居心地も抜群です。

松本は国宝・松本城のお膝元で、温泉地もたくさん有する人気の観光地。観光を楽しんだ後に立ち寄りたい、松本エリアの名店をご紹介します。

観光スポット「中町通り」から路地に入ったところにあるそば店です。全国各地や海外からも客が訪れ、開店前から行列ができることでも知られています。そばは細切りで食べ応えのある納得の味わい。メニューはざるそばとかけそばのみというところに、そばへのプライドが感じられます。一品料理では地元の貴重な食材が食べられます。

松本の奥座敷、浅間温泉に居を構える明治27年創業の老舗です。ゆったりと日本庭園を眺めながら味わうそばのメニューは、香り豊かな十割そば、心地良い喉ごしの二八そば。産地と水ににこだわり抜いた、通も唸る味わいです。3種類のそばを食べ比べできる盛り合わせには、つゆの他に塩と水が添えられていて、3通りの風味を楽しませてくれます。まずは、水に浸してのど越しや香りを楽しみ、箸に塩をつけて口へ運びそば本来の甘みを感じて、最後につゆで味わいましょう。

次にご紹介するのは、日本三大そばの「戸隠そば」を産んだそばの聖地、戸隠エリア。近年開運や縁結びのパワースポットとしても高い人気を誇るこのエリアの名店もぜひ押さえておきましょう。

戸隠神社の中社前に構える、行列のできる人気店です。風味と香りが一番出る真冬に収穫したそばを石臼で挽いて、鮮度を保つためマイナス20度で保存。一年を通してその美味しさを堪能できるようにしています。天ぷらと厳選した日本酒も評判です。アルピコ交通の戸隠・善光寺1日周遊きっぷを見せると、そばが1割引となる特典が受けられます。

大きな窓から美しい景観を眺めながら、絶品のそばを堪能できる店です。地元産にこだわり、選び抜いた契約農家から仕入れたそばを使用しています。そばの実ごとに石臼の挽き方を変えたり、日々の湿度や気温で打ち方を変えたりするところなどは、正に職人技。そばつゆだけでなくそば本来の旨味をしっかり味わえるように岩塩が添えられています。

最後にご紹介するのは、長野が誇る観光スポット「善光寺」の周辺エリアです。数多くのそばの店が軒を連ねる県内でも有数のそばスポットの中から、おすすめの2店舗を見ていきましょう。

文政十年創業の8代続く老舗で、美しい白壁や店内は落ち着いた和モダンな雰囲気です。良質なそばの実を、昔ながらの石臼で挽いています。2年ものの鰹の本枯節や天然の利尻昆布を合わせ、もりとかけでそれぞれ醤油を変えているというこだわりよう。「ごくらくそば」は、そばつゆ、とろろつゆ、くるみつゆの3種つゆで食べる、人気のメニューです。

善光寺にほど近い権堂の裏路地に佇む、手打ちそば専門の名店です。ノスタルジックな趣きがある店舗は、元は古い蔵だったそう。開店前には入口のガラスごしにそばを打つ様子がみられます。もち米から造ったみりんと丸大豆醤油を、カメで寝かせたかえし汁と厳選した天然素材の出汁と合わせ、砂糖は使わずそば汁を作っています。喉ごしの良い細めのそばです。

善光寺仲見世に店舗を構えています。1階では長野名物のおやきなどの名産品を販売し、2階がそば店です。そばには防腐剤などの添加物は使用せず、地物のそば粉にこだわっています。職人が熟練した技で打つそばは、舌の肥えた地元の人からも愛される本場の味です。ホームページに割引券があります。

＜住所＞
〒380-0851 長野県長野市大字長野元善町482
＜営業時間＞
9:00～17:00
＜定休日＞
※詳細は事前にご確認ください。
参考サイト:丸八たきや

深い霧に包まれて育った「霧下そば」を、店主自ら厳選して使用。丹念に水回しをし、その日のそば粉の状態に合わせてつなぎを加えずに打った十割そばはまさに絶品です。そばの風味を引き立てるつゆは、無添加の食材と丸大豆醤油を使用して作られたかえしを、かめの中で3ヵ月も熟成させて作られています。数量限定メニューの二色そばは、真っ白な更科そばと十割そばを食べ比べられます。ホームページでは席予約ができ、割引特典もあるのでチェックしてみてください。いつも混み合っているので、事前予約がおすすめです。

＜住所＞
〒380-0841 長野市大門町46-1
＜営業時間＞
11:00～14:30 （ラストオーダー 14:30、品切れ次第閉店）
＜定休日＞
水曜日
※詳細は事前にご確認ください。
参考サイト:十割そば 大善

八幡屋礒五郎は善光寺そばの大門町に本店を構える、創業270年の歴史を持つ「七味唐からし」専門店の老舗です。どこか懐かしさを感じさせるレトロな缶を使い、素材はできるだけ信州産のものを使っています。人気商品は多くありますが、好みに合わせて七味を調合してくれるサービスも（長野県内では本店とMIDORI長野店で実施）。季節をイメージしたブレンドや、肉に合う七味バーベキューソルトなど多彩な商品があります。自宅用に購入したそばと合わせて旅の余韻に浸っても良いですし、お土産にも最適です。

長野駅徒歩1分というアクセスの良さで、直結の地下道を通れば雨や雪の日でも濡れずに便利です。客室は機能的ですっきりとしています。朝食は長野の郷土料理に加えて手作りの和洋食がどちらも楽しめる、ビュッフェスタイルで提供。もちろん信州そばも用意されているので、とろろや七味でぜひご賞味を。

信州そばは、産地や種類によりさまざまな魅力を味わえる、奥深いもの。いくつもの観光地を巡りながら、食べ比べてみるのもおすすめです。長野東急REIホテルは、長野県内の各観光地へアクセス抜群のため、拠点にするには最適なホテルです。信州そばを堪能しに長野へ旅がしたくなったら検討してみてください。

※掲載されている情報は2021年12月時点のものです。掲載情報は予告なく変更になる場合があります。